ミャンマー紀行(カンペレ滞在記2)
今日はミャンマー国内で出回っている2種類の通貨について取り上げる。
ミャンマー・チャットとUSドルである。この国では日本円はほとんど
通用しない。またFECについては日を改めて書いてみたい。画像下はいま
手元にある20チャット札と20ドル札である。1USドルが、実勢レート
で650チャットくらいである。どちらもニセ札などではなく、真正なもの
であるが、お札の汚れという点でどちらがひどくて、市中で通用しないと
お考えだろうか?答えは上の手にするのもおぞましい20チャットでは
なく、下の20ドルの方なのだ。目を凝らして観察していただきたい。
右下に0.7×7mmと左上に1×4.5mmの黒いシミがある。このせいで2回、
受け取りを拒否された。いっぽう、これ以上はない汚さとテープで補修
してある点で使えそうもなさそうな、チャット札の方はまったく問題なく
使える。500チャット以下の札の市中に出回るかなりの部分がこの程度
汚れているといってもあながちおおげさとはいえない。いったいどう
やって使ったらこんなにばばっちくなってしまうのか不思議だが、これが
ミャンマーの実態だ。

もうひとつの大きな謎、女性と男女の子供が顔にぬる化粧品のタナカだ。
ミカン科の Hesperethusa crenulata という低木の樹皮部分を円形の
砥石のようなもので削って顔にぬるのであるが(画像下)、私もいちど
ぬってもらったが、水に溶いたタナカの粉末が乾燥するときにたしかに
ヒヤッとする。ただあとはファンデーションをがさつにほほに塗り
たくったようで、あまり美的センスがあるとはとうてい思えない。
西洋文化も少しずつだが入りつつあるヤンゴンでも、タナカをしている
若い女性はまだまだ多い。不思議だ。

画像下は、乾燥済みの押し葉標本とそれを入れた日本から持参した
チャック付きのビニール袋と、もともとヒマラヤ遠征用に開発された
というプラパールという軽くて丈夫な箱と、この村で奇跡的に調達
できた、超大型の透明ビニール袋でさらなる防水用に内張りしてある
ところ。川に落ちても標本が濡れないようにとの指示で作ったが、
標本を入れた箱があの濁流にいちど落ちてしまったら軽い箱はあっと
いう間に流されていってしまい、ほんとうは防水うんぬんどころでは
ないだろう。正直に話すと、これだけ防水しても、肝心の標本の方は、
今年2月から8月までに採集されたものが半数を超えるが、連日
100%近い空中湿度の中、防湿性の袋にはまったく入れられなかった
せいで、標本は湿気を含んでかびが生えたり、葉や実が落ちたりして
しまったものも多いのが実情だ。今後、改善したい。


ミャンマー・チャットとUSドルである。この国では日本円はほとんど
通用しない。またFECについては日を改めて書いてみたい。画像下はいま
手元にある20チャット札と20ドル札である。1USドルが、実勢レート
で650チャットくらいである。どちらもニセ札などではなく、真正なもの
であるが、お札の汚れという点でどちらがひどくて、市中で通用しないと
お考えだろうか?答えは上の手にするのもおぞましい20チャットでは
なく、下の20ドルの方なのだ。目を凝らして観察していただきたい。
右下に0.7×7mmと左上に1×4.5mmの黒いシミがある。このせいで2回、
受け取りを拒否された。いっぽう、これ以上はない汚さとテープで補修
してある点で使えそうもなさそうな、チャット札の方はまったく問題なく
使える。500チャット以下の札の市中に出回るかなりの部分がこの程度
汚れているといってもあながちおおげさとはいえない。いったいどう
やって使ったらこんなにばばっちくなってしまうのか不思議だが、これが
ミャンマーの実態だ。

もうひとつの大きな謎、女性と男女の子供が顔にぬる化粧品のタナカだ。
ミカン科の Hesperethusa crenulata という低木の樹皮部分を円形の
砥石のようなもので削って顔にぬるのであるが(画像下)、私もいちど
ぬってもらったが、水に溶いたタナカの粉末が乾燥するときにたしかに
ヒヤッとする。ただあとはファンデーションをがさつにほほに塗り
たくったようで、あまり美的センスがあるとはとうてい思えない。
西洋文化も少しずつだが入りつつあるヤンゴンでも、タナカをしている
若い女性はまだまだ多い。不思議だ。

画像下は、乾燥済みの押し葉標本とそれを入れた日本から持参した
チャック付きのビニール袋と、もともとヒマラヤ遠征用に開発された
というプラパールという軽くて丈夫な箱と、この村で奇跡的に調達
できた、超大型の透明ビニール袋でさらなる防水用に内張りしてある
ところ。川に落ちても標本が濡れないようにとの指示で作ったが、
標本を入れた箱があの濁流にいちど落ちてしまったら軽い箱はあっと
いう間に流されていってしまい、ほんとうは防水うんぬんどころでは
ないだろう。正直に話すと、これだけ防水しても、肝心の標本の方は、
今年2月から8月までに採集されたものが半数を超えるが、連日
100%近い空中湿度の中、防湿性の袋にはまったく入れられなかった
せいで、標本は湿気を含んでかびが生えたり、葉や実が落ちたりして
しまったものも多いのが実情だ。今後、改善したい。

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ミャンマー紀行(ミンダット遠征・後編)
後編は、そのほかのミンダットで見聞きした興味深いことについて、
書いておこう。ここチン州でマイトンと呼ばれる野生牛がいる。
マイトンとは、mithon と書いて、英語なのだそうだ。よくゲスト
ハウスの食卓にものぼり、牛肉好きの私にとって格別のごちそうなの
だが、今回、そのマイトンをミンダット高原道路の路上から観察・撮影
することができた。野生牛と書いたが、ほんとうは山に放牧された
食用牛のことで、鼻輪も何も付いてはいないが、エリアごとに持ち主
が決まっているのだそうだ。日本語通訳のウェイさんからは、
「ミャンマーでは牛は農作業の使役に使うもので、家族同様なので、
牛肉を食べない人も多いのですよ。」と聞いた。たしかに道ですれ違う
牛を引いた農夫は多いが、この場合、だいたい背中にこぶがある薄茶色
の牛だ。それと違って、今回、7mくらいまで近づいて撮影したマイトン
は、今にもこちらに向かって突進してきそうな、そんな迫力があった。

チン州では、60代の老婦の、みたところおよそ9割に、顔に刺青がある。
(画像下)それもおしゃれとか、見た目かっこいいといったものとは真逆
で、画像のように、顔にマジックで落書きしたようなのや、ひどいのは
顔全面に刺青が入っているために、顔がまるで死体のように青黒くなって
いて、ぞっとするものもある。なんでこんなことをしたかというと、
チン州にも数多くの少数民族が住んでいるが、他の部族に結婚相手として
略奪されないために、わざと醜くしたのだそうだ。もし本当にそうなら
むごたらしいことだ。

ミンダットからの帰り道、低地で赤くて美しい野生の草本性ハイビスカス
を見つけて、株を掘ってくれるようにお願いしたのだが、じつはこの地域
では乾期には乾燥で地上部が全部枯れてしまうために地下茎が発達し、
深くまるでニンジンのような直根ができるのだった。(画像下)根気よく
ていねいに掘り上げてくれたローシェンさんに感謝。


書いておこう。ここチン州でマイトンと呼ばれる野生牛がいる。
マイトンとは、mithon と書いて、英語なのだそうだ。よくゲスト
ハウスの食卓にものぼり、牛肉好きの私にとって格別のごちそうなの
だが、今回、そのマイトンをミンダット高原道路の路上から観察・撮影
することができた。野生牛と書いたが、ほんとうは山に放牧された
食用牛のことで、鼻輪も何も付いてはいないが、エリアごとに持ち主
が決まっているのだそうだ。日本語通訳のウェイさんからは、
「ミャンマーでは牛は農作業の使役に使うもので、家族同様なので、
牛肉を食べない人も多いのですよ。」と聞いた。たしかに道ですれ違う
牛を引いた農夫は多いが、この場合、だいたい背中にこぶがある薄茶色
の牛だ。それと違って、今回、7mくらいまで近づいて撮影したマイトン
は、今にもこちらに向かって突進してきそうな、そんな迫力があった。

チン州では、60代の老婦の、みたところおよそ9割に、顔に刺青がある。
(画像下)それもおしゃれとか、見た目かっこいいといったものとは真逆
で、画像のように、顔にマジックで落書きしたようなのや、ひどいのは
顔全面に刺青が入っているために、顔がまるで死体のように青黒くなって
いて、ぞっとするものもある。なんでこんなことをしたかというと、
チン州にも数多くの少数民族が住んでいるが、他の部族に結婚相手として
略奪されないために、わざと醜くしたのだそうだ。もし本当にそうなら
むごたらしいことだ。

ミンダットからの帰り道、低地で赤くて美しい野生の草本性ハイビスカス
を見つけて、株を掘ってくれるようにお願いしたのだが、じつはこの地域
では乾期には乾燥で地上部が全部枯れてしまうために地下茎が発達し、
深くまるでニンジンのような直根ができるのだった。(画像下)根気よく
ていねいに掘り上げてくれたローシェンさんに感謝。

ミャンマー紀行(ミンダット遠征・前編)
今回の調査旅行のベースキャンプは、チン州南部のカンペレという村
なのであるが、車で4時間くらい北にあるチン州中部のミンダットを
ベースに2泊3日の小調査旅行をおこなうことになった。乾期ならば
カンペレから標高2600mまで登ってミンダットに下る林道が通行可能
なのであるが、雨期末期で標高2000mすらジープでも登れないわれわれ
は、活動範囲が著しく狭まれ、いらいらしていたところだったから、
標高2000m以上を舗装されている林道が横走するミンダット行きは
まさに待ち焦がれていたものだった。
標高1450mのカンペレ・ゲストハウスから、標高350mまでいっきに
下り、あとは蒸し暑いなか悪路を注意深く北上する。途中、昼食に
入った小さな村の食堂は、12時前だというのにほとんど料理がなくて、
われわれ一行以後の客にはご飯でなく、インスタントラーメンを出して
いる始末だった。私は、バガンからカンペレに来る途中に入った、やはり
さびれた感じの食堂であたり、ひどい目にあった経験から、旺盛な食欲
とは裏腹にできるだけあたりそうもないものを、少量だけ食べて難を
逃れたはずだった。自信はあった。しかし現実は甘くなかった。また前
よりひどいのをやってしまったのだった。地元民はあたらないのに、
なぜ日本人だけあたるのか、とおもったが、そうでもないらしい。幼児
の下痢は深刻な問題らしく、ユニセフが安い値段で配布している、水
1リットルに溶かして飲む粉を商店で売っていた。(画像下)ポカリ
スエットの粉末が切れたので試しに飲んでみたのだが、ま、まずい!
まったく甘さのない塩水だった。にがりっぽい味もする。生理的食塩水
なのだろうが、ポカリスエットと違って、薬と思って我慢して飲まな
ければとても飲めた味ではなかった。

ミンダットの村は、カンペレよりはるかに発達していた。24時間電気
がある。衛星回線経由であるが、深夜12時まで営業しているネット
カフェまである!(画像下)さっそく入ってネット規制の厳しい
ミャンマーで唯一自由に使えるGmail のアカウントを開くと、なんと
そこには上司から、ミャンマーニンジンのタネをぜったいに持ち帰ること、
という一文があった。たしかに果期はこの時期らしいが、チョウセン
ニンジンと同属のこの種は、この地域でも中国に高価で売れるため
取り尽くされて、絶滅寸前といわれていた。花はけっこう咲くが、
結実率は非常に低いらしい。急遽、目的を楽しいお花畑の花摘みから、
ミャンマーニンジンのタネ探しへと変更したのだった。

ドライバーでもあり、体躯屈強なプラントハンターでもあるホンマン
さんの、運転しながら森相を見る、その勘だけが頼りだった。途中、
何回かひよわな3名に道端の植物を採集するように命じ、やはり体力
はあるローシェンさんと2人で山の急斜面を降りてゆく、その姿は
頼もしかったが、結果はなかなかでなかった。ところで今回のミンダット
行はひさびさに天候に恵まれていた。午後になってもいつものように
豪雨にならない。林道からほとんど傾斜のない、鬱蒼とした林に入って
行く時、われわれも全員で探すことになった。30分ほどしてなにやら
叫び声が!声のする方に密生する草をかきわけ進んでいくと、日本語
通訳のウェイさんから「なんか見つかったみたいです。」先に目に
入ったのは、ホンマンさんのガッツポーズ。よく目を凝らして見なければ
ほんとに見落としそうだった。ミャンマーニンジンの果実5個付きの
個体がそこにはあった。(画像下)カンペレのゲストハウスに戻って
殺菌処理をした後、あとは無事日本で発芽してくれることを祈るのみ。
ぱちぱち!


なのであるが、車で4時間くらい北にあるチン州中部のミンダットを
ベースに2泊3日の小調査旅行をおこなうことになった。乾期ならば
カンペレから標高2600mまで登ってミンダットに下る林道が通行可能
なのであるが、雨期末期で標高2000mすらジープでも登れないわれわれ
は、活動範囲が著しく狭まれ、いらいらしていたところだったから、
標高2000m以上を舗装されている林道が横走するミンダット行きは
まさに待ち焦がれていたものだった。
標高1450mのカンペレ・ゲストハウスから、標高350mまでいっきに
下り、あとは蒸し暑いなか悪路を注意深く北上する。途中、昼食に
入った小さな村の食堂は、12時前だというのにほとんど料理がなくて、
われわれ一行以後の客にはご飯でなく、インスタントラーメンを出して
いる始末だった。私は、バガンからカンペレに来る途中に入った、やはり
さびれた感じの食堂であたり、ひどい目にあった経験から、旺盛な食欲
とは裏腹にできるだけあたりそうもないものを、少量だけ食べて難を
逃れたはずだった。自信はあった。しかし現実は甘くなかった。また前
よりひどいのをやってしまったのだった。地元民はあたらないのに、
なぜ日本人だけあたるのか、とおもったが、そうでもないらしい。幼児
の下痢は深刻な問題らしく、ユニセフが安い値段で配布している、水
1リットルに溶かして飲む粉を商店で売っていた。(画像下)ポカリ
スエットの粉末が切れたので試しに飲んでみたのだが、ま、まずい!
まったく甘さのない塩水だった。にがりっぽい味もする。生理的食塩水
なのだろうが、ポカリスエットと違って、薬と思って我慢して飲まな
ければとても飲めた味ではなかった。

ミンダットの村は、カンペレよりはるかに発達していた。24時間電気
がある。衛星回線経由であるが、深夜12時まで営業しているネット
カフェまである!(画像下)さっそく入ってネット規制の厳しい
ミャンマーで唯一自由に使えるGmail のアカウントを開くと、なんと
そこには上司から、ミャンマーニンジンのタネをぜったいに持ち帰ること、
という一文があった。たしかに果期はこの時期らしいが、チョウセン
ニンジンと同属のこの種は、この地域でも中国に高価で売れるため
取り尽くされて、絶滅寸前といわれていた。花はけっこう咲くが、
結実率は非常に低いらしい。急遽、目的を楽しいお花畑の花摘みから、
ミャンマーニンジンのタネ探しへと変更したのだった。

ドライバーでもあり、体躯屈強なプラントハンターでもあるホンマン
さんの、運転しながら森相を見る、その勘だけが頼りだった。途中、
何回かひよわな3名に道端の植物を採集するように命じ、やはり体力
はあるローシェンさんと2人で山の急斜面を降りてゆく、その姿は
頼もしかったが、結果はなかなかでなかった。ところで今回のミンダット
行はひさびさに天候に恵まれていた。午後になってもいつものように
豪雨にならない。林道からほとんど傾斜のない、鬱蒼とした林に入って
行く時、われわれも全員で探すことになった。30分ほどしてなにやら
叫び声が!声のする方に密生する草をかきわけ進んでいくと、日本語
通訳のウェイさんから「なんか見つかったみたいです。」先に目に
入ったのは、ホンマンさんのガッツポーズ。よく目を凝らして見なければ
ほんとに見落としそうだった。ミャンマーニンジンの果実5個付きの
個体がそこにはあった。(画像下)カンペレのゲストハウスに戻って
殺菌処理をした後、あとは無事日本で発芽してくれることを祈るのみ。
ぱちぱち!

ミャンマー紀行(ビクトリア山の名花)
ビクトリア山(ビルマ語ではNatma Taung ナマタンと呼ぶ)の名花と
いえば、その歴史的経緯からしても、ショウガ科の Globba wardii を
おいて他はないだろう。(画像下)高さ30cmくらいの草本だが、標高
2000mくらいのあたりの林道脇や松林の林床が今の時期、一面この紫色
の美しい植物に覆われる。(画像下)


Globba 属は通常、ほとんど撹乱のない熱帯雨林の林床に生える、めだ
たない地味な草本なのだが、このGlobba wardii だけは違って、日当たり
のよい(といってもこの雨期のシーズン、曇っているか、ガスがかかって
いることがほとんどだが)、撹乱を多くうけた斜面に好んで生えるため、
林道脇は一種のお花畑状を呈する。

画像上はやはり林床に大群落をつくる、ピンクで毛がほうに多く生えた
ツリフネソウ科の1種で、ぱっと見はやはりツリフネソウ属である
ホウセンカに似ている気もする。とても美しいので、日本でもぜひ育て
たいが、なんとなく直感では一年草っぽいのと、2000mの高山に生える
植物ということで、日本での栽培は高冷地を除いては難しそうだ。
とにかく熱帯高地の植物には魅力的なものが多いが、日本の夏に温室を
冷気で冷やさないといけないので、栽培が難しくてとても残念に思うこと
が多い。

いえば、その歴史的経緯からしても、ショウガ科の Globba wardii を
おいて他はないだろう。(画像下)高さ30cmくらいの草本だが、標高
2000mくらいのあたりの林道脇や松林の林床が今の時期、一面この紫色
の美しい植物に覆われる。(画像下)


Globba 属は通常、ほとんど撹乱のない熱帯雨林の林床に生える、めだ
たない地味な草本なのだが、このGlobba wardii だけは違って、日当たり
のよい(といってもこの雨期のシーズン、曇っているか、ガスがかかって
いることがほとんどだが)、撹乱を多くうけた斜面に好んで生えるため、
林道脇は一種のお花畑状を呈する。

画像上はやはり林床に大群落をつくる、ピンクで毛がほうに多く生えた
ツリフネソウ科の1種で、ぱっと見はやはりツリフネソウ属である
ホウセンカに似ている気もする。とても美しいので、日本でもぜひ育て
たいが、なんとなく直感では一年草っぽいのと、2000mの高山に生える
植物ということで、日本での栽培は高冷地を除いては難しそうだ。
とにかく熱帯高地の植物には魅力的なものが多いが、日本の夏に温室を
冷気で冷やさないといけないので、栽培が難しくてとても残念に思うこと
が多い。
ミャンマー紀行(カンペレ滞在記)
チン州ナマタン国立公園での植物調査の最初の1日が過ぎた。朝8時前に
宿舎を出発して、大雨が降ってきたため午後2時過ぎには切り上げてしま
ったが、まあまあ成功だったといえるだろう。調査のやり方や現地で手足
となって動いてくれるパークレンジャーとの距離感もつかみつつあって、
おぼろげながらもうまくいきそうな気がしてきた。もう数日もすれば軌道
に乗るだろう。
今日の発見のトップはショウガ科の新種を発見したこと。といっても
初めて新種だということを認識したのが私だという意味ではない。ハワイ
の友人ジョン・ムードが新種と気がついて、あちこち探しまわっている
種をここナマタンでも発見したということだ。Boesenbergia longiflora
とかつては認識されていたが、その種は黄色の花で唇弁に赤い斑が入るの
に対し、本種(画像下)の花では白とピンクという違いがある。なんか
ずいぶん大きな違いのように思えるが、そんな単純な違いもショウガ科で
は未研究なのである。ショウガ科の研究は、まだまだ奥が深い。


画像上は、ナマタンでの標本乾燥用装置。下で2つの炭を燃やし、上に
アルミの波板と段ボールではさんだ押し葉標本を置き、さらに上にカバー
を掛けようとしているところ。今回、大変な思いをして超過料金で大枚
をはたいて運んだ、新品の私個人の私物のダンボール板160枚とシナ
ベニヤ10枚、乾燥し終わった標本を入れるチャック付きビニール袋
200枚はたいへんありがたがられたのだが、もう一つのニューシステム
である、チェーンをスプリングで引っ張るというアイディアはバネが
強すぎてあっさり却下され針金で巻くという原始的な方法が継承される
ことになった。

画像上はパークレンジャーのホンマンさんが自宅に招待してくれ、チン州
独特のいわゆる“チン・ビール”を振舞っているところ。作り方を聞くと、
シコクビエを炊いたものを嫌気発酵させ、蓋はハヤトウリの葉でふさいで
最低1ヶ月。飲むときは、上から水を注いで突き刺した筒からチューブを
使って吸出し、1つの壺で7-8リットル取れるというが、いったん空気
に触れると翌日にはもう味が変わってしまい飲めなくなるそうだ。ゲスト
が来た時の、贅沢なもてなしというわけだ。アルコール度数は15度
くらいはあろうか、けっこう酸味があり、白ワインのようでもあり、劣化
が進んだ日本酒のようでもある。2杯飲んだが、かなりきつかった。
たくさん飲むと悪酔いすると聞いていたので、なおさらだ。チン州でも
もっと田舎に行くと、民族衣装を着た女性の踊りがまずあって、その後、
チン・ビールが振舞われるそうだから、踊りの方を見たくてまた飲むかも
しれない。

宿舎を出発して、大雨が降ってきたため午後2時過ぎには切り上げてしま
ったが、まあまあ成功だったといえるだろう。調査のやり方や現地で手足
となって動いてくれるパークレンジャーとの距離感もつかみつつあって、
おぼろげながらもうまくいきそうな気がしてきた。もう数日もすれば軌道
に乗るだろう。
今日の発見のトップはショウガ科の新種を発見したこと。といっても
初めて新種だということを認識したのが私だという意味ではない。ハワイ
の友人ジョン・ムードが新種と気がついて、あちこち探しまわっている
種をここナマタンでも発見したということだ。Boesenbergia longiflora
とかつては認識されていたが、その種は黄色の花で唇弁に赤い斑が入るの
に対し、本種(画像下)の花では白とピンクという違いがある。なんか
ずいぶん大きな違いのように思えるが、そんな単純な違いもショウガ科で
は未研究なのである。ショウガ科の研究は、まだまだ奥が深い。


画像上は、ナマタンでの標本乾燥用装置。下で2つの炭を燃やし、上に
アルミの波板と段ボールではさんだ押し葉標本を置き、さらに上にカバー
を掛けようとしているところ。今回、大変な思いをして超過料金で大枚
をはたいて運んだ、新品の私個人の私物のダンボール板160枚とシナ
ベニヤ10枚、乾燥し終わった標本を入れるチャック付きビニール袋
200枚はたいへんありがたがられたのだが、もう一つのニューシステム
である、チェーンをスプリングで引っ張るというアイディアはバネが
強すぎてあっさり却下され針金で巻くという原始的な方法が継承される
ことになった。

画像上はパークレンジャーのホンマンさんが自宅に招待してくれ、チン州
独特のいわゆる“チン・ビール”を振舞っているところ。作り方を聞くと、
シコクビエを炊いたものを嫌気発酵させ、蓋はハヤトウリの葉でふさいで
最低1ヶ月。飲むときは、上から水を注いで突き刺した筒からチューブを
使って吸出し、1つの壺で7-8リットル取れるというが、いったん空気
に触れると翌日にはもう味が変わってしまい飲めなくなるそうだ。ゲスト
が来た時の、贅沢なもてなしというわけだ。アルコール度数は15度
くらいはあろうか、けっこう酸味があり、白ワインのようでもあり、劣化
が進んだ日本酒のようでもある。2杯飲んだが、かなりきつかった。
たくさん飲むと悪酔いすると聞いていたので、なおさらだ。チン州でも
もっと田舎に行くと、民族衣装を着た女性の踊りがまずあって、その後、
チン・ビールが振舞われるそうだから、踊りの方を見たくてまた飲むかも
しれない。